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SERA WORKS

マンガ制作ユニットです

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『 崩壊世紀 JOXER 』(ほうかいせいき ジョーカー)
単行本全3巻が、講談社少年マガジンコミックスより発売中!!

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銃・病原菌・鉄  

ジャレド・ダイアモンドのピュリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)受賞作
『銃・病原菌・鉄』を熟読しました。草思社文庫から上下巻で出ています。
120517.jpg
写真は、聖天院にある高麗王霊廟前の謎めいた羊の石像。
霊廟の左右に狛犬(←高麗犬が語源?)のように配置されていました。

羊というか・・・家畜に詳しくなった気がする上下巻です。
メモをルーズリーフにびっしり三枚分とりました・・・;


1532年。インカ帝国の皇帝とスペインから来たピサロ将軍の衝突時において、
8万人のインカ兵士をたった168人のスペイン人が圧倒できた理由はなにか?

・・・そこに到るまでの人類史一万三千年を、農耕と畜産の歴史を中心にして
紐解いてゆく本書は、短絡的な人種差別観の反対側に位置しています。

久しぶりに、爽快な知的興奮のある本でした。
細かい感想は、続き読むにて。
(短くまとめるのは、不可能だと悟りました;;)


本書は、類縁人から進化してきた人類(ホモ・サピエンス)が、
揺籃の地であるアフリカ大陸から世界中に移動して行って、
アメリカ大陸に到達する約一万一千年前頃の人類の文化度に大差はない、
(環境の違いはあったが)という考古学的な見地から始まります。

では
”各大陸における文明の発達度の違いはなぜ起こったか?”

下巻のアフリカ大陸の章でさらっと書かれていますが、”白人”もアフリカ起源なんですよね・・・。
世界三大宗教の元になったセム語が、アフロ=アジア語ファミリーだというのも衝撃的。
そりゃ人類の起源はアフリカ大陸なんだから、全てのタネもありそうですが。

だったら、最初期に人類が住み着いたアフリカこそ文明が発達してもよさそう?
大昔はサハラ砂漠も草原だったというし、環境も悪くないはず・・・と、
私も長いこと思っていました。

だが、アフリカ大陸やアメリカ大陸には、作物に適した野生種の植物が少なく、
家畜に適した野生の大型ほ乳類が、たまたまいなかった。
一番小さいオーストラリア大陸は、過酷な環境でもっと状況は悪かった。



メソポタミアの肥沃三日月地帯(シュメール~)、中国の黄河&長江流域は
巨大なユーラシア大陸にあり、石器時代の人類にも栽培可能な野生の穀物が
数種類存在し、家畜に適した野生動物にも恵まれていた。

アメリカにもアフリカにも動植物は沢山あるじゃないか!! と誰もが思いますが。
それが人類にとって有益な、高カロリー&栽培しやすい植物となると、ぐっと数が減ります。

たとえば、アメリカ原産のトウモロコシは、麦や米に比べると明らかに栄養価が低い。
手間の割にはカロリーがとれず、多くの人間を養えないため国家が生まれにくくなる。
・・・という具合に、人類の摂取カロリーと文明規模は足並みを揃えていくわけです。


動物に到っては、家畜化しやすい=大人しく群れて生殖管理がしやすい・・・となると、
世界に十四種しかない!! そのうち九種はラクダなどの地域限定マイナー家畜です。
メジャーな家畜五種は、牛、豚、羊、山羊、馬。
これらは紀元前一万年~紀元前二千年の間に家畜化されましたが、以降四千年以上
新・家畜は登場していないのです。そして、うち十三種はユーラシア原産の野生動物。

アフリカのシマウマは、非常に気性が荒く家畜に向かなかった・・・。
家畜のいない大陸では、全ての作業を人間が手作業で行うしかなく、農耕で生産性が
爆発的に上がるということもなかった。

二十一世紀のバイオテクノロジーをもってしても、新しい穀物、新しい家畜は生まれていない。

世界中に広がっていった人類が、それぞれ到達した土地で同じように(同じ技術で)
土地の動植物を狩り集め、育てて増やした(農耕と家畜の初期)としても。
もともと高カロリーな穀物と家畜化しやすい動物がいる大陸と、いない大陸では
その後の発展に大きな差が出てくる。環境の違いが運命の分かれ目。



もちろん。文明と技術は人間の移動に伴って(時には侵略という形で)伝播してゆきます。
動植物の伝播には、似た気候環境でないと難しいという生物的問題があり、
緯度が同じ西→←東の平行伝播は、比較的スムーズに行われます。
東西に長いユーラシア大陸は、伝播条件においても恵まれていました。

南北に長いアフリカ大陸とアメリカ大陸では、
動植物の伝播はほとんど不可能で、近代的な欧州の技術で仲介されるまで
自然にユーラシア大陸の動植物や技術が持ち込まれることもなかった。



ユーラシア大陸では東西の交流が盛んで、人口密度も高く、家畜も多かったので
家畜由来の伝染病が何度も発生し、大量の死者を出した。
そうやって生き残った人々には遺伝的な耐性ができていた。

家畜を持たなかったアメリカ先住民は、入植したヨーロッパ人が持ち込んだ
病原菌で全人口の90%以上を失い、インカ帝国は分裂状態に陥っていた。
ピサロ将軍の火縄銃よりも、病原菌の方が圧倒的な力を持っていたのだ。


人口密度の高い、複雑で政治的な環境にあったヨーロッパから来たピサロ。
広大なアメリカ(ごく一部)で、アステカ帝国とだけ競っていたインカ帝国の皇帝。
農耕と畜産の発達度の違いは、ここに文明と政治力の差となって現れる。


・・・よく聞く、”インディアンは、白人を自分たちの白い神だと思った”という話や、
最新武器(銃、よく切れる刀)至上主義に偏らないで、文明の根本を見つめた
本書は、21世紀における文明の生態史観のような風格を持っています。


おまけとして。日本版前書きにあった、
「世界で最初に研磨加工した(刃先の長い)石器を作ったのは、日本人」に
笑ってしまいました・・・・何万年前から手先が器用なんだよ、日本人?!
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